マナー講師が解説する結婚式で守るべきこと

結婚式にお呼ばれされた時、ふと「どんなマナーがあったっけ?」と不安になった経験はありませんか?大切な人の晴れ舞台だからこそ、失礼のないように、心から祝福する気持ちを伝えるために、知っておきたいことはたくさんあります。
でも、堅苦しいルールブックを読み込むのは気が引ける…そんな方もいらっしゃるかもしれませんね。
ご安心ください。
このコラムでは、マナー講師の視点から、結婚式で本当に守るべき大切なことを、分かりやすく丁寧にお話しします。
新郎新婦はもちろん、他のゲストの方々にも心地よく過ごしていただけるような、素敵な一日を過ごすためのヒントを、これから一緒に見ていきましょう。

目次

結婚式に招かれたらまず確認したい基本マナー

結婚式の招待状が届いた瞬間から、私たちの「お祝いモード」はスタートします。
同時に、「どんな準備が必要かな?」「失礼なことはないかな?」と、マナーについて考え始める方も多いのではないでしょうか。
特に初めて結婚式に参列する場合や、久しぶりのお呼ばれだと、昔の記憶が曖昧になっていることもありますよね。
ここでは、招待状への返信から当日の服装、ご祝儀についてなど、結婚式に参列するにあたってまず最初に押さえておきたい基本的なマナーをご紹介します。
これらの準備をしっかりしておけば、安心して当日を迎えることができますよ。

招待状の返信、いつまでにどうする?

招待状が届いたら、まず確認したいのが返信期日です。
通常、結婚式の招待状は式の約2~3ヶ月前に送られ、返信期日は式の約1ヶ月前に設定されていることが多いです。
期日内に返信するのが最低限のマナーですが、もし出席できるかすぐに判断できる場合は、できるだけ早く返信しましょう。
新郎新婦はゲストの人数を確定させて、会場への手配を進める必要があります。
早めの返信は、お二人への配慮となるのです。
返信はがきには、出席・欠席を丸で囲む欄があります。
出席する場合は「御出席」の「御」と「御欠席」を消し、「出席」を丸で囲みます。
さらに、「御芳名」「御芳名」の「御芳」を消し、「名」だけを残して自分の名前を記入します。
「御芳名」の「御芳」も同様に消します。
最近は縦書きのはがきが多いので、修正液ではなく、縦二重線で消すのが一般的です。
お祝いのメッセージ欄には、お祝いの言葉と、出席できる喜びや楽しみにしている気持ちを添えましょう。
欠席する場合も、返信期日までに欠席の旨を伝え、丁寧にお詫びの言葉を添えます。
やむを得ず欠席する場合でも、できるだけ早く連絡を入れることが、新郎新婦への最大限の配慮となります。
もし返信期日を過ぎてしまいそうな場合は、はがきを出す前に電話やメールで新郎新婦に一報入れるとより丁寧です。

ご祝儀の金額と包み方の基本

結婚式のご祝儀は、新郎新婦へのお祝いの気持ちと、これからの新しい生活への応援の気持ちを表すものです。
金額の相場は、新郎新婦との関係性によって異なります。
友人や会社の同僚の場合は3万円、いとこや親戚の場合は3万円~5万円、兄弟姉妹の場合は5万円~10万円が一般的とされています。
割り切れる偶数は「別れ」を連想させるため避けるのが一般的ですが、最近では「末広がり」の意味を持つ8万円や、「区切りがない」10万円は問題ないとされることもあります。
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、地域や家によって考え方が異なる場合もありますので、心配な場合は親しい親族や共通の友人などに相談してみるのも良いでしょう。
ご祝儀袋は、お祝い事用の「熨斗(のし)」と「水引」が付いたものを選びます。
水引は「結び切り」か「あわじ結び」を選びます。
これは「一度きり」という意味合いが込められています。
金額に見合った豪華さのご祝儀袋を選ぶと良いでしょう。
ご祝儀袋の表書きには、水引の上に「御結婚御祝」または「壽」と書き、水引の下に自分の氏名をフルネームで記入します。
毛筆か筆ペンを使い、濃い墨で書くのがマナーです。
中袋には、表面に包んだ金額を旧字体で書き、裏面に自分の住所と氏名を書きます。
ご祝儀には必ず新札を用意しましょう。
これは「この日のために事前に準備していました」という気持ちを表すためです。
銀行などで両替してもらうことができます。
ご祝儀袋は、袱紗(ふくさ)に包んで持ち運びます。
袱紗の色はお祝い事には暖色系を選びます。
紫は慶弔どちらにも使えるので便利です。
受付でご祝儀を渡す際は、袱紗から取り出し、相手から見て表書きが読める向きにして両手で渡します。
「この度はおめでとうございます」など、お祝いの言葉を添えながら渡しましょう。

服装選びのポイント:避けるべきスタイルとおすすめ

結婚式に参列する際の服装は、新郎新婦への敬意を表す大切な要素です。
基本的には、フォーマルな装いを心がけることが重要です。
女性の場合、昼間の披露宴では露出の少ないドレッシーなワンピースやアンサンブルがおすすめです。
スカート丈は膝が隠れるくらいが良いでしょう。
夜の披露宴では、少し華やかな光沢のある素材やデザインのドレスも素敵です。
ただし、白は花嫁の色なので絶対に避けましょう。
また、全身黒のコーディネートは喪服を連想させるため、お祝いの場にはふさわしくありません。
黒いドレスを着る場合は、明るい色の羽織りものや小物で華やかさをプラスしましょう。
過度な露出(ミニスカート、胸元が大きく開いたデザイン、肩出しなど)や、アニマル柄、派手すぎるアクセサリーも避けるのが無難です。
靴はパンプスが基本です。
ミュールやサンダル、ブーツはカジュアルすぎるため避けます。
ストッキングは肌色のものを着用しましょう。
黒いストッキングやタイツはカジュアルな印象になるため、避けるのが一般的です。
ただし、冬場の二次会など、少しカジュアルなシーンであれば許容される場合もあります。
男性の場合、ブラックスーツやダークカラーのスーツが基本です。
ワイシャツは白が最もフォーマルです。
ネクタイは白やシルバーグレー、パステルカラーなどのお祝い事にふさわしい色を選びます。
黒いネクタイは弔事を連想させるため避けましょう。
靴は黒かブラウンの革靴を選び、靴下はスーツの色に合わせたものを選びます。
親族として参列する場合は、ゲストを迎える立場として、より控えめで上品な装いを心がけることが多いです。
友人として参列する場合は、ある程度の華やかさも許容されますが、主役はあくまで新郎新婦であることを忘れず、TPOをわきまえた服装選びが大切です。

当日慌てない!会場での振る舞いと気遣い

結婚式当日、会場に到着してから披露宴が終わるまで、様々な場面があります。
それぞれのシーンでスマートに振る舞うことは、新郎新婦や他のゲストの方々への配慮につながります。
特に初めての会場では戸惑うこともあるかもしれませんが、基本的な流れとマナーを知っておけば、落ち着いて対応できます。
ここでは、受付での対応から会場内での立ち振る舞い、食事中のマナーなど、当日のスムーズな進行と心地よい空間作りのための気遣いについて解説します。
これらのポイントを押さえて、思い出に残る素敵な一日を過ごしましょう。

受付でのスムーズな挨拶と記帳

会場に到着したら、まず受付へ向かいます。
受付では、新郎側か新婦側か自分の名前を伝え、記帳を行います。
受付係は、新郎新婦から頼まれてお手伝いしてくれている方々です。
まずは「本日はおめでとうございます」と、お祝いの言葉と共に、受付をしてくださる方々への感謝の気持ちを伝えましょう。
「本日は受付を務めさせていただきます〇〇です」と名前を名乗ると、受付係の方も対応しやすくなります。
ご祝儀を渡す際は、先ほどお話ししたように袱紗から取り出し、両手で丁寧に渡します。
記帳は、芳名帳やゲストカードに氏名と住所を記入します。
最近は事前にゲストカードを郵送されることも増えています。
筆記具が用意されていることが多いですが、書き慣れた自分の筆記具を持参するのも良いでしょう。
記帳台では、前の人が書き終わるのを待ち、順番に行います。
書き終わったら「ありがとうございました」と一言添えて、席次表などを受け取ります。
受付周辺が混み合うこともありますので、スムーズな対応を心がけ、記帳が終わったら速やかに次の場所へ移動しましょう。
受付係の方々は、長い時間立ちっぱなしで対応してくださっています。
受付を済ませた後、席次表を見ながら待っている間に、受付係の方々に「お疲れ様です」「ありがとうございます」といった労いの言葉をかけるのも、細やかな気遣いとして喜ばれるでしょう。

会場内での立ち振る舞いと言葉遣い

会場に入ってからは、他のゲストや会場スタッフの方々と接する機会が多くなります。
常に穏やかで丁寧な言葉遣いを心がけることが大切です。
特に、結婚式のようなお祝いの席では、「別れる」「切れる」「破れる」「終わる」「冷める」といった「忌み言葉」や、「重ね重ね」「いよいよ」「くれぐれも」といった「重ね言葉」は避けるのがマナーです。
これらの言葉は、不幸や再婚を連想させるため、お祝いの席にはふさわしくありません。
代わりに、「今後とも」「ますます」といった言葉を使うと良いでしょう。
会場内での移動は、他のゲストの邪魔にならないように注意し、特に挙式会場や披露宴会場への入退場は、スタッフの指示に従ってスムーズに行います。
席次表を見て自分の席を確認し、着席します。
席に着く際は、椅子の背もたれに寄りかかりすぎず、姿勢を正すことを意識しましょう。
お手洗いなどで一時的に席を立つ場合は、周りの方に一言声をかけると丁寧です。
また、会場内での大きな話し声や、プライベートな長電話などは控えましょう。
多くの人が集まる場所ですので、周囲への配慮を忘れずに、落ち着いた振る舞いを心がけることが、心地よい空間作りに繋がります。
特に披露宴中は、新郎新婦や両親が各テーブルを回って挨拶に来られることもあります。
その際は、起立して笑顔で迎え、「おめでとうございます」と改めてお祝いの言葉を伝えるのが丁寧な対応です。

写真撮影のマナーと注意点

結婚式では、新郎新婦との記念撮影や、会場の素敵な雰囲気、美味しい料理など、写真を撮りたい場面がたくさんありますよね。
しかし、写真撮影にもいくつか注意しておきたいマナーがあります。
まず、挙式中の写真撮影は、基本的に許可されている場合以外は控えるのがマナーです。
特にチャペルなどでは、厳粛な雰囲気の中で行われるため、フラッシュやシャッター音が邪魔になる可能性があります。
撮影したい場合は、事前に新郎新婦や会場に確認しましょう。
披露宴中は、自由に撮影できることが多いですが、新郎新婦がメインテーブルにいる時や、スピーチ、余興の最中など、進行の妨げになる場所やタイミングでの撮影は避けましょう。
また、他のゲストの顔が大きく写り込むような撮影や、プライベートな空間に踏み込むような撮影は控えるべきです。
集合写真を撮影する際は、カメラマンの指示に従ってスムーズに移動し、指定された立ち位置に立ちましょう。
個人で新郎新婦と写真を撮りたい場合は、歓談の時間などを利用して、他のゲストとの順番を譲り合いながら声をかけると良いでしょう。
撮影した写真をSNSにアップロードする場合は、写っている他のゲストのプライバシーに配慮が必要です。
特に、顔がはっきり写っている写真や、個人が特定できるような情報が含まれる写真をアップロードする際は、写っている方々の許可を得てからにするのが、現代における大切なマナーと言えます。
また、新郎新婦がまだ公開していない情報(例えば、お色直しのドレスの色や二次会の会場など)を写真と共に載せてしまうのも避けるべきです。
新郎新婦が共有したいと思っている情報を尊重することが大切です。

新郎新婦へのお祝いの気持ちを伝える言葉と行動

結婚式は、新郎新婦がこれまでお世話になった方々へ感謝を伝え、これからの人生を共に歩むことを誓う大切な日です。
参列する私たちも、お二人の幸せを心から願う気持ちを、様々な形で伝えることができます。
言葉一つ、行動一つで、お祝いの気持ちはより深く伝わるものです。
ここでは、披露宴でのスピーチや余興を頼まれた場合、乾杯の発声をお願いされた場合、そして個人的にメッセージを伝える方法など、新郎新婦へのお祝いの気持ちを効果的に伝えるためのポイントをご紹介します。
あなたの温かい気持ちが、お二人にとって忘れられない宝物になりますように。

披露宴でのスピーチや余興を頼まれたら

披露宴でスピーチや余興を依頼されるのは、新郎新婦にとってあなたが大切な存在である証です。
引き受ける場合は、心を込めて準備することが、お二人への最高のプレゼントになります。
スピーチを頼まれたら、まずは新郎新婦との関係性や、話す時間について確認しましょう。
一般的に、友人代表スピーチは3分程度が目安です。
内容としては、お二人との出会いや思い出のエピソード、新郎新婦それぞれの魅力、そしてこれからの幸せを願うメッセージなどを盛り込むと良いでしょう。
ただし、内緒にしておきたいようなプライベートすぎる話や、過去の恋愛話、失敗談などは、ユーモアのつもりでも避けるべきです。
あくまでお祝いの席にふさわしい、温かく前向きな内容を心がけましょう。
話す際は、早口にならず、聞き取りやすい声のトーンで話すことを意識します。
原稿を棒読みするのではなく、新郎新婦の顔を見ながら、会場全体に語りかけるように話すと、気持ちがより伝わります。
事前に声に出して練習し、時間を計っておくと安心です。
余興を頼まれた場合も、同様に新郎新婦と内容や時間について打ち合わせを行います。
参加型の余興であれば、他のゲストにも楽しんでもらえるような内容を企画しましょう。
過度に内輪受けを狙ったものや、下品な内容は避けるべきです。
どちらの場合も、一番大切なのは「新郎新婦をお祝いしたい」という気持ちです。
緊張するかもしれませんが、その気持ちを込めて一生懸命行うことで、きっとお二人に喜んでもらえるはずです。

乾杯の発声をお願いされたら

披露宴の始まりを告げる乾杯の発声は、とても光栄な役割です。
依頼されたら、快く引き受け、しっかりと準備しましょう。
乾杯の発声は、通常、新郎新婦の上司や恩師など、目上の方に依頼されることが多いですが、友人代表に頼まれることもあります。
発声までの流れとしては、司会者から紹介を受け、起立してメインテーブルの方へ向き直り、軽く一礼します。
そして、ゲストの方々へ向き直り、マイクを使って挨拶を始めます。
内容は、新郎新婦へのお祝いの言葉、簡単な自己紹介(新郎新婦との関係性)、そして今後の幸せを願うメッセージなどを簡潔にまとめます。
時間は1分~1分半程度に収めるのが理想です。
長すぎると、ゲストがグラスを持ったまま待つことになり、負担をかけてしまいます。
結びの言葉は「それでは、新郎新婦の今後の幸せと、ご両家、ならびに本日お集まりの皆様のご健勝を祈念いたしまして、乾杯!」などが一般的です。
「乾杯!」の発声は、元気よく、会場全体に響き渡るように発声しましょう。
発声後は、グラスを軽く持ち上げ、周りの人たちと目を合わせて会釈をします。
実際にグラスをカチンと合わせる必要はありません。
また、乾杯の発声をする人は、乾杯が済むまでグラスに口をつけないのがマナーです。
緊張する場面ですが、お祝いの気持ちを込めて、堂々と務めることが大切です。
事前に内容を考え、声に出して練習しておくと、当日落ち着いて臨めます。

新郎新婦への心温まるメッセージの伝え方

スピーチや余興を頼まれなくても、新郎新婦へお祝いのメッセージを伝える機会はたくさんあります。
例えば、招待状の返信はがきにメッセージを書き添えたり、結婚式当日に渡すメッセージカードを用意したり、電報を送ったりする方法があります。
最近では、SNSでお祝いのメッセージを送る方も増えています。
どのような方法で伝えるにしても、大切なのは「おめでとう」という心からの祝福の気持ちと、お二人への温かいメッセージです。
メッセージカードや手紙の場合は、手書きで書くとより気持ちが伝わります。
内容は、結婚の報告を受けた時の気持ち、お二人の素敵なところ、今後の幸せを願う言葉などを具体的に書くと、よりパーソナルなメッセージになります。
電報は、結婚式当日に会場に届くように手配します。
様々なデザインやメッセージを選ぶことができ、遠方からでもお祝いの気持ちを伝えることができる便利な手段です。
SNSでのメッセージは手軽ですが、他の人にも見られる可能性があるため、プライベートな内容の書き込みには注意が必要です。
結婚式が終わった後、落ち着いた頃に改めてお祝いの連絡を入れるのも良いでしょう。
その際に、結婚式で特に感動したシーンや、楽しかった

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