結婚式の引き出物選びで揉めないための家族会議ポイントと話し合いの進め方
結婚式の準備は、希望に満ちた楽しいイベントであると同時に、家族間の意見の相違が表面化しやすいデリケートな時期でもあります。
「結婚式の引き出物選びで揉めないための家族会議ポイントと話し合いの進め方」について、今回は、長年数多くの結婚式に携わってきた経験から、円満に引き出物選びを進めるための秘訣を、具体的な進め方と共にお伝えします。
せっかくのお祝いの場だからこそ、全員が笑顔で当日を迎えられるように、この記事を参考に、ご家族で素敵な引き出物を見つけてください。
引き出物選びで家族が意見をぶつけ合う、その背景とは?
結婚式の引き出物選びで、意外と家族間で意見がぶつかりやすいのをご存知でしょうか。
その背景には、いくつかの要因が考えられます。
まず、引き出物は、新郎新婦だけでなく、両家を代表する贈り物であるという側面があります。
そのため、どちらか一方の意見だけを通すのではなく、両家の意向を汲み取ったものを選びたいという気持ちが働くのは自然なことです。
また、引き出物はゲストへの感謝の気持ちを表すものであり、「ゲストに喜んでもらいたい」「失礼があってはならない」という責任感から、慎重になりすぎるあまり、様々な意見が出てしまうこともあります。
さらに、世代間の価値観の違いも影響します。
例えば、年配の親世代は、実用性を重視して「長く使えるもの」や「食品」を選ぶ傾向が強い一方、新郎新婦世代は、デザイン性やトレンドを意識した「おしゃれなもの」や「体験型のギフト」に魅力を感じるかもしれません。
このように、「誰にとっての贈り物なのか」「何を重視するのか」という視点の違いが、意見の食い違いを生む原因となるのです。
例えば、私の担当したご夫婦で、お母様が「せっかくなら、みんなが使うお皿が良いだろう」と、伝統的な陶器のペアセットを提案されたのに対し、新婦様は「もっと今どきのおしゃれなキッチン雑貨が良い」と、デザイン性の高いカトラリーセットを希望されました。
お母様は「お皿は毎日使えるし、来客時にも重宝する」と実用性を、新婦様は「普段の食卓が華やかになる」とデザイン性を重視していたのです。
この場合、どちらかの意見を押し通すのではなく、「両家にとっての『感謝』と『実用性』、そして『新しさ』のバランス」をどう取るかが、話し合いの鍵となります。
また、「引き出物の相場」についても、ご家庭によって認識が異なる場合があります。
ゲストの顔ぶれや、招待する人数、披露宴のスタイルなどによって適切な金額は変わってきますが、漠然としたイメージで「これくらいが普通」と考えていると、思わぬところで意見のずれが生じることも。
例えば、親世代が「一人あたり5,000円くらいが一般的だろう」と考えているのに対し、新郎新婦が「最近はもっと高価なものを選ぶ人もいる」と知っている場合、金額面で意見が分かれる可能性があります。
このように、引き出物選びは、単なる「モノ選び」ではなく、「感謝の気持ちをどう形にするか」「両家の顔をどう立てるか」という、様々な要素が絡み合っています。
これらの背景を理解した上で、家族会議に臨むことが、円滑な話し合いの第一歩となるでしょう。
家族で納得できる引き出物選び!話し合いを円滑に進めるための具体的な進め方
では、具体的にどのように家族会議を進めていけば、意見の対立を避け、全員が納得できる引き出物選びができるのでしょうか。
ここでは、段階を踏んだ具体的な進め方をご紹介します。
新郎新婦の希望を明確にし、家族に共有する
まず、新郎新婦自身が、引き出物に何を求めているのかを明確にすることが最も重要です。
単に「おしゃれなものが良い」「みんなに喜ばれるものが良い」という漠然とした希望ではなく、「ゲストに『こんなものまでいただけるなんて!』と驚いてもらいたい」「私たちの結婚の記念になるような、長く愛用できるものを選びたい」といった、より具体的なビジョンを持つことが大切です。
例えば、新郎新婦が「私たちは、食にこだわりがあるので、質の良い調味料や、ちょっと贅沢なスイーツを贈りたい」と考えているとします。
この場合、単に「食べ物」というだけでなく、「どんな種類の食べ物か」「どんなブランドが良いか」「どのようなパッケージが良いか」といった具体的なイメージを、写真やURLなどを添えて家族に共有します。
これにより、家族は新郎新婦の意向をより具体的に理解しやすくなり、的外れな提案をしてしまうリスクを減らすことができます。
また、「引き出物の予算」についても、事前に新郎新婦間でしっかりと話し合い、大まかな予算感を決めておくことが不可欠です。
例えば、「一人あたり3,000円〜5,000円の範囲で考えている」といった具体的な金額を家族に伝えることで、提案の幅が絞られ、現実的な選択肢の中から選びやすくなります。
この際、「ご祝儀の相場」なども考慮に入れ、ゲストへの感謝の気持ちと、両家の経済的な負担のバランスを考慮することが大切です。
家族からの意見を「アイデア」として受け止め、整理する
新郎新婦の希望を伝えたら、次は家族からの意見を聞く番です。
ここで重要なのは、家族からの意見を「批判」ではなく「アイデア」として受け止める姿勢を持つことです。
たとえ、自分たちのイメージとは違う意見が出たとしても、「それは違う」とすぐに否定せず、「なるほど、そういう考え方もあるのですね」と一度受け止めることが、建設的な話し合いにつながります。
例えば、お母様から「やはり、お菓子は定番でしょ。
みんな喜ぶし」という意見が出たとします。
この場合、「でも、最近はもっとおしゃれなものが…」と反論するのではなく、「お菓子は確かに人気ですよね。
どのようなお菓子がお好みですか?例えば、地域の名産品とか、それとも有名パティスリーのものとか、何かイメージはありますか?」と、さらに具体的に掘り下げていくのが良いでしょう。
また、家族からの意見を、「実用性重視」「トレンド重視」「地域性重視」など、いくつかのカテゴリーに分類して整理するのも有効です。
これにより、どのような意見が出ているのか、全体像を把握しやすくなり、後々、意見をまとめる際にも役立ちます。
さらに、「ゲストの顔ぶれ」を考慮した意見を積極的に取り入れましょう。
例えば、親族に年配の方が多い場合、あまりにも現代的すぎるデザインや、使い方が難しいものは避けた方が良いかもしれません。
逆に、友人中心の披露宴であれば、少し冒険したセレクトも喜ばれる可能性があります。
家族は、新郎新婦とは異なる視点からゲスト層を理解している場合も多いため、そうした意見は貴重なヒントになります。
「折衷案」を見つけるための具体的なアプローチ
家族からの意見が出揃ったら、いよいよ「折衷案」を見つける段階です。
ここでのポイントは、「すべてを完璧に満たすもの」を探すのではなく、「お互いが譲れる点、譲れない点」を理解し、最もバランスの取れた選択肢を見つけることです。
一つのアプローチとして、「引き出物のカタログギフト」の活用が挙げられます。
カタログギフトであれば、ゲスト自身が好きなものを選べるため、好みの違いによる不満を最小限に抑えることができます。
カタログギフトの中でも、「新郎新婦のこだわりが反映された、厳選されたアイテムが掲載されているもの」を選ぶことで、新郎新婦の満足度も高まります。
例えば、最近では、グルメに特化したカタログギフトや、体験型ギフト(温泉、レストラン、アクティビティなど)が充実したカタログギフトも増えています。
また、「引き菓子」と「引き出物」を別々に考えるのも良い方法です。
例えば、引き出物は実用的な食器や雑貨を選び、引き菓子は、両家が納得できる定番のお菓子を選ぶ、といった具合です。
このように、役割を分担することで、それぞれに最適な選択肢を見つけやすくなります。
さらに、「新郎側」「新婦側」でそれぞれ引き出物を分けるという選択肢もあります。
これは、ゲストの構成が大きく異なる場合などに有効です。
ただし、この場合でも、全体の予算感や、贈る品物の「格」のようなものは、ある程度統一しておくと、よりスマートな印象になります。
最終的に、「これが一番、みんなが笑顔になれる選択肢だね」と、全員が前向きに思えるような結論に達することが理想です。
たとえ、当初の希望とは少し異なる結果になったとしても、家族みんなで話し合い、決めたというプロセスそのものが、結婚式の良い思い出となるはずです。
引き出物選びを成功させるための、ちょっとした裏技と心構え
これまで、具体的な進め方についてお話してきましたが、さらに引き出物選びを円滑に進めるための、ちょっとした裏技や心構えをご紹介します。
「トレンド」と「定番」のバランスを意識する
引き出物選びで迷ったとき、「トレンド」と「定番」のバランスを意識することは非常に有効です。
例えば、最近のトレンドとしては、おしゃれな食器や、こだわりの調味料、体験型ギフトなどが人気ですが、一方で、長年愛されている定番の品物(例えば、質の良いタオルや、日持ちするお菓子など)も、やはりゲストからの安心感があります。
「新郎新婦がトレンドを取り入れたい」という希望があれば、引き菓子を少しデザイン性の高いものにしたり、プチギフトをトレンドアイテムにしたりするなど、一部に取り入れるのがおすすめです。
そして、メインの引き出物は、より多くのゲストに喜ばれる定番のものを選ぶ、といった工夫ができます。
私の経験上、「地域性」を意識した引き出物も、喜ばれることが多いです。
例えば、その土地ならではの名産品や、伝統工芸品などを引き出物に取り入れることで、ゲストに結婚式の思い出と共に、その土地の魅力を持ち帰ってもらうことができます。
これは、両家の出身地のものを組み合わせることで、両家への敬意を示すことにもつながり、家族間の意見調整にも役立つことがあります。
「実物」を見て、触れて、決めることの重要性
インターネットで情報を集めるのも良いですが、引き出物は「実物」を見て、触れて、決めることが、後々の後悔を防ぐ上で非常に重要です。
カタログギフトの場合も、掲載されている商品の質感が分かりにくいことがあります。
可能であれば、実際に店舗に足を運んだり、サンプルを取り寄せたりして、質感やサイズ感、重さなどを確認することをおすすめします。
特に、食器や雑貨類などは、写真で見るのと実物とでは印象が大きく異なることがあります。
また、食品の場合は、賞味期限や保存方法なども、事前に確認しておくと安心です。
家族で一緒に店舗に足を運ぶのも良いでしょう。
実際に品物を見ることで、自然と会話も弾み、お互いの意見を共有しやすくなります。
「みんなで触って、これはいいね!」「これはちょっとイメージと違うね」という率直な感想を言い合える場を作ることで、より納得感のある選択ができるはずです。
「感謝の気持ち」を伝えることを忘れない
何よりも大切なのは、引き出物選びを通じて、ゲストへの「感謝の気持ち」を伝えることを忘れないことです。
どんなに高価なものでも、どんなにトレンドを意識したものでも、そこに感謝の気持ちがこもっていなければ、相手にその気持ちは伝わりません。
家族会議で意見が対立したときこそ、「この引き出物を通して、私たちはゲストにどんな気持ちを伝えたいのだろう?」という原点に立ち返ってみてください。
その気持ちを共有することで、自然と意見の対立は和らぎ、より本質的な話し合いができるようになるはずです。
また、引き出物に添えるメッセージカードも、感謝の気持ちを伝える大切なツールです。
「心を込めて選んだ引き出物です。
どうぞお納めください。
」といった、温かいメッセージを添えることで、引き出物の価値はさらに高まります。
引き出物選びは、結婚準備の中でも特に、家族の絆を深める良い機会になり得ます。
大変だと感じることもあるかもしれませんが、家族みんなで協力して、ゲストに喜んでもらえる素敵な引き出物を見つけてください。
まとめ
結婚式の引き出物選びは、新郎新婦はもちろん、両家にとっても大切なイベントです。
家族間で意見がぶつかるのは、それだけゲストへの感謝の気持ちが強い証拠でもあります。
今回ご紹介した、新郎新婦の希望を明確にすること、家族の意見をアイデアとして受け止めること、そして折衷案を見つけるための具体的なアプローチを参考に、円滑な家族会議を進めてください。
トレンドと定番のバランスを意識し、実物を見て決めること、そして何よりも「感謝の気持ち」を忘れずに、ご家族で協力して、ゲストの心に残る素敵な引き出物を見つけてください。
このプロセスを経て選ばれた引き出物は、きっと、お二人の結婚を祝福してくれるすべての人々にとって、温かい思い出となることでしょう。

