ブライダルフェアでその場契約する前に、本当に考えるべきこと
夢にまで見た結婚式。
その準備は、多くのカップルにとってワクワクする時間のはずです。
特に、結婚式場を決めるブライダルフェアは、理想の結婚式を具体的にイメージできる絶好の機会ですよね。
キラキラした空間で、美味しい料理を試食し、スタッフの説明を聞いていると、ついつい「ここで決めてしまいたい!」という気持ちになってしまうこともあるでしょう。
しかし、ブライダルフェアでその場契約を急ぐのは、後々後悔の種になりかねません。
なぜなら、感情が高ぶっている状態では、冷静な判断ができにくくなるからです。
この記事では、ブライダルフェアで「この会場で間違いない!」と確信する前に、じっくりと考えるべき重要なポイントを、経験豊富なウェディングプランナーの視点から、具体的にお伝えしていきます。
会場選びで失敗しないための、冷静な比較検討術
ブライダルフェアは、会場の魅力を最大限に伝えるための演出が凝らされています。
そのため、「この会場しか考えられない!」と舞い上がってしまうのも無理はありません。
しかし、結婚式場選びは、一生に一度の大きな決断です。
感情に流されることなく、複数の会場を冷静に比較検討することが、後悔しないための一番の秘訣と言えるでしょう。
見積もりの「見えないコスト」に注意する
ブライダルフェアでは、魅力的なプランが提示され、その場で契約すると特典が付くことも多いです。
しかし、提示された見積もりを鵜呑みにするのは危険です。
「基本プランに含まれていると思っていたものが、実はオプションだった」というケースは少なくありません。
例えば、装花の種類やボリューム、映像演出の有無、音響設備、控室のグレード、さらには介添え料やサービス料といった項目が、後から追加されることがあります。
見積もり項目を一つ一つ細かく確認し、不明な点は必ず担当者に質問しましょう。
また、「この見積もりは、あくまで現時点での概算であり、最終的な金額は変動する可能性がある」ということも、念頭に置いておく必要があります。
特に、季節や曜日、人数によって料金が大きく変わることもありますので、希望する時期や人数での具体的な見積もりを複数パターン提示してもらうことをお勧めします。
さらに、「持ち込み料」についても確認が必要です。
例えば、外部のカメラマンやヘアメイク、引き出物などを持ち込みたい場合、会場によっては高額な持ち込み料が発生することがあります。
後から「こんなはずじゃなかった…」とならないよう、できる限り早い段階で確認しておきましょう。
私が以前担当したお客様で、装花にこだわりがあり、会場の提携業者ではなく、お気に入りのフラワーアーティストに依頼したいと考えていた方がいらっしゃいました。
しかし、その会場の持ち込み料が非常に高額だったため、結局装花は会場指定のものにせざるを得なくなり、当初のイメージとは少し異なる仕上がりになってしまった、という残念な経験をされた方もいらっしゃいます。
見積もりは、あくまで「スタートライン」であり、そこからどこまで費用が膨らむ可能性があるのかを、担当者としっかり話し合うことが重要です。
「理想の結婚式」を叶えるための、会場の柔軟性を探る
結婚式には、新郎新婦のこだわりや個性を反映させたいものです。
ブライダルフェアで会場の雰囲気や設備に惹かれるのは当然ですが、「自分たちの理想とする結婚式が、この会場で本当に叶えられるのか」という視点も忘れてはなりません。
例えば、ゲストの人数に対して会場の広さは適切か、希望する演出(例えば、生演奏やフラッシュモブなど)は可能か、アレルギーを持つゲストへの対応はどうか、といった点は、事前に確認しておくべきでしょう。
「できないこと」を無理に「できる」と伝えている会場には注意が必要です。
また、会場のスタッフとの相性も非常に重要です。
結婚式当日は、会場のスタッフの方々にお世話になる時間が長くなります。
親身になって相談に乗ってくれるか、こちらの要望を丁寧に聞いてくれるかなど、フェアの担当者とのやり取りを通して、会場全体の雰囲気を掴むことも大切です。
実際に、あるカップルは、フェアの担当者の対応が事務的で、こちらの質問にも曖昧な返答しか得られなかったため、契約には至りませんでした。
後日、別の会場の担当者と話したところ、熱意を持って様々な提案をしてくれたため、その会場に決めたそうです。
「この人たちとなら、安心して結婚式を任せられる」と思えるかどうかは、会場選びにおける大きな判断材料となります。
さらに、「オリジナリティ」を重視したいカップルは、会場のカスタマイズ性も確認しておきましょう。
例えば、壁の色や照明、テーブルコーディネートなど、どこまで自分たちの好みに変更できるのか、あるいは、オリジナルのウェディングケーキや引き出物などを持ち込めるのか、といった点も、事前に確認しておくと良いでしょう。
即決しないための、客観的な視点と準備
ブライダルフェアで、会場の魅力に圧倒されて「ここで決めたい!」という気持ちになるのは自然なことです。
しかし、「その場契約」を避けるための、客観的な視点と事前の準備が、後々の後悔を防ぐ鍵となります。
「他会場との比較」という視点を常に持つ
ブライダルフェアは、各会場が最も輝いて見えるように工夫されています。
そのため、「この会場が一番!」と思ってしまいがちですが、必ず他の会場と比較検討する時間を持つことが重要です。
「他の会場はどうなっているんだろう?」という視点を持つことで、その会場の良さはもちろん、見落としていた点や、もっと良い条件の会場がある可能性にも気づくことができます。
例えば、あるカップルは、初めて訪れた会場に大変感動し、その場で契約しようか迷っていました。
しかし、友人に相談したところ、「まずはいくつか見てから決めた方がいいよ」と言われ、他の会場もいくつか見学しました。
その結果、最初に訪れた会場よりも、設備が充実していて、かつ料金も抑えられる会場を見つけることができたのです。
「比較検討する」ということは、決して「目移りする」ことではありません。
むしろ、自分たちの希望や予算に最も合った会場を見つけるための、賢い方法なのです。
フェアで提示された特典や割引も、「今、ここで決めないと損をする」というプレッシャーに感じすぎず、「あくまで、この会場の魅力の一つ」と捉えるようにしましょう。
「持ち帰り」の勇気と、相談相手の存在
ブライダルフェアでは、その場で契約しないと特典がなくなる、というような状況に置かれることもあります。
しかし、「持ち帰って検討したい」という意思をしっかりと伝える勇気を持ちましょう。
「一度持ち帰って、二人でじっくり話し合いたい」と伝えることは、決して失礼なことではありません。
むしろ、真剣に検討している証拠でもあります。
「今日のフェアで一番気になった点は〇〇です。
一度持ち帰って、主人(妻)とも相談させてください。
」といったように、具体的にどこが気になったのかを伝えつつ、持ち帰りの意思を伝えるのが効果的です。
そして、持ち帰った後は、パートナーと率直な意見交換をすることが何よりも大切です。
「今日のフェアで一番良かった点は?」「逆に、少し気になった点は?」など、お互いの感想を共有し、疑問点や不安な点を洗い出しましょう。
もし、二人だけでは判断に迷うようであれば、信頼できる友人や家族に相談するのも良いでしょう。
ただし、相談する相手は、客観的な意見をくれる人、あるいは結婚式に関する知識や経験がある人を選ぶのが賢明です。
例えば、先日担当したお客様は、ご両親に相談したところ、昔ながらの慣習にとらわれた意見を言われ、少し悩んでいました。
しかし、結婚式を経験したばかりの友人に相談したところ、現実的なアドバイスをもらえ、スムーズに会場決定ができた、というケースもありました。
「誰かに相談する」ということは、決して「自分で決められない」ということではありません。
むしろ、多角的な視点を取り入れることで、より良い判断ができるようになるのです。
契約前に確認すべき、細やかなチェックリスト
ブライダルフェアで「この会場で間違いない!」と思えたとしても、契約前に最終確認すべき細やかなポイントがいくつか存在します。
これらを怠ると、後々思わぬトラブルに発展する可能性も。
「契約書」という、二人の結婚式を形作る大切な書類だからこそ、隅々まで目を通しましょう。
契約書にサインする前に、最終確認すべきこと
契約書は、結婚式に関する一切の約束事を記した、法的な効力を持つ書類です。
そのため、「なんとなく大丈夫だろう」という気持ちでサインするのは絶対に避けてください。
まず、見積もり内容と契約書の内容が一致しているかを、改めて照らし合わせましょう。
特に、「〇〇円まで」と提示された金額が、最終的な総額なのか、それとも基本料金なのかを明確に確認する必要があります。
また、キャンセルポリシーについても、「いつまでに」「いくら」のキャンセル料が発生するのかを、具体的に把握しておきましょう。
結婚式の日程変更や、万が一のキャンセルが発生した場合、このキャンセルポリシーが大きく影響します。
「もしもの時のための保険」と考えて、しっかりと確認しておくことが大切です。
さらに、「当日成約特典」や「フェア特典」が、契約書に明記されているかも確認しましょう。
口頭での約束は、後々「言った」「言わない」のトラブルに発展する可能性があります。
特典の内容や適用条件も、明確に記載されているかを確認し、不明な点は必ず質問しましょう。
私が担当したお客様の中には、フェア特典の割引が、契約書に記載されていなかったため、後日問い合わせたところ、「それはフェア限定の特典で、本契約には適用されません」と言われてしまった、という方がいらっしゃいました。
「契約書は、自分たちの権利を守るための盾」と捉え、慎重に確認することが肝心です。
「もしもの時」に備える、柔軟な対応力
結婚式当日に、予期せぬ出来事が起こる可能性はゼロではありません。
例えば、急な体調不良や、ゲストの人数変動など、「もしもの時」に会場がどれだけ柔軟に対応してくれるかは、非常に重要なポイントです。
「ゲストの人数が多少増減した場合、いつまでであれば料金の変更が可能か」「急な体調不良で、延期やキャンセルが必要になった場合、どのような対応になるか」といった点を、事前に確認しておきましょう。
「〇日前までであれば、人数変更は無料です」「万が一、当日キャンセルになった場合でも、〇%までであればキャンセル料はかかりません」といった、具体的な対応策がある会場は、安心感が違います。
また、「アレルギー対応」についても、事前にしっかりと確認しておきましょう。
ゲストの中に、食物アレルギーを持つ方がいらっしゃる場合、どのような食材に対応できるのか、アレルギー症状が出た場合の対応マニュアルはあるのかなどを、担当者に確認しておくと安心です。
あるカップルは、ゲストに重度の卵アレルギーの方がいらっしゃったのですが、会場側が事前に十分な確認を怠っていたため、当日、そのゲストが食べられる料理がほとんどなかった、という残念な状況になってしまいました。
「万が一」に備えるということは、決してネガティブなことではありません。
むしろ、安心して結婚式当日を迎えるための、大切な準備**なのです。
まとめ
ブライダルフェアは、結婚式場選びの第一歩であり、夢を具体化する素晴らしい機会です。
しかし、その場の雰囲気や特典に流されず、冷静に判断することが何よりも大切です。
今回ご紹介した、見積もりの見えないコスト、会場の柔軟性、他会場との比較検討、そして契約前の最終確認といったポイントをしっかりと押さえることで、「あの時、あの会場で決めて本当に良かった!」と思える、最高の結婚式場選びができるはずです。
焦らず、じっくりと、そして何よりもお二人で納得のいく会場を見つけてください。