結婚式という特別な一日。
花嫁さんの数だけ、理想のヘアスタイルがあります。
アップスタイルやダウンスタイルなど様々な選択肢がある中で、近年注目を集めているのが「ローポニーテール」です。
ただ髪を結ぶだけ、と思われがちですが、実はローポニーテールで上品に決めるブライダルヘアは、洗練された大人の花嫁さんにぴったりのスタイルなのです。
シンプルだからこそ、素材の美しさや細部に宿るテクニックが際立ち、控えめながらも確かな存在感を放ちます。
ナチュラルな雰囲気からクラシカル、モダンまで、どんなテイストのウェディングにも馴染みやすく、あなたの魅力を最大限に引き出してくれるでしょう。
この記事では、ブライダルヘアとしてローポニーテールを選ぶ魅力から、上品に見せるための具体的なコツ、顔型やドレスに合わせた選び方まで、詳しくご紹介します。
ブライダルヘアでローポニーテールを選ぶ魅力と上品に見せる基本
ブライダルヘアの選択肢は星の数ほどありますが、その中でもローポニーテールが多くの花嫁さんに選ばれ続けているのには理由があります。
まず、その最大の魅力は「普遍的な美しさ」と「アレンジの多様性」にあります。
時代やトレンドに左右されず、いつの時代に見返しても洗練された印象を与えてくれるのがローポニーテールです。
また、シンプルなベースだからこそ、様々なアレンジや髪飾り、アクセサリーとの組み合わせによって、全く異なる雰囲気を演出できるのも魅力です。
上品に見せるためには、ただ一つに結ぶだけでなく、いくつかの基本を押さえることが重要になります。
ここでは、なぜ花嫁にローポニーテールが選ばれるのか、そして上品なローポニーテールの基本の作り方と、失敗しないためのベースの整え方について掘り下げていきます。
なぜ花嫁にローポニーテールが選ばれるのか
花嫁さんにローポニーテールが選ばれる理由は多岐にわたります。
まず、その「上品さ」と「大人っぽさ」が挙げられます。
高い位置でのポニーテールに比べて落ち着いた印象を与え、大人の女性が持つ洗練された美しさを引き立てます。
また、首元やデコルテラインを美しく見せることができるため、ウェディングドレスのデザインを際立たせる効果もあります。
特に、背中が開いたデザインやオフショルダーのドレスとの相性は抜群です。
さらに、ローポニーテールは長時間崩れにくく、結婚式のあらゆるシーンで美しい状態を保ちやすいという実用的なメリットもあります。
挙式、披露宴、お色直し、二次会と、一日を通してスタイルを変えることなく過ごしたい花嫁さんにとって、これは非常に重要なポイントです。
シンプルでありながら、合わせる髪飾りやアレンジ次第でクラシカルにも、ナチュラルにも、モダンにも変化させられる柔軟性も、選ばれる大きな理由と言えるでしょう。
例えば、格式高いチャペルでの挙式にはタイトにまとめたクラシカルなローポニー、ガーデンウェディングには少しルーズに崩したナチュラルなローポニーなど、シーンに合わせて雰囲気を調整できます。
多くのヘアメイクリハーサルで、花嫁さんが最終的にローポニーテールを選ばれるのは、その安心感と上品な仕上がりに納得されるからだと感じています。
上品なローポニーテールの基本の作り方
上品なローポニーテールを作るためには、単に髪を低い位置で結ぶだけでは不十分です。
いくつかの基本的なポイントを押さえることで、格段に洗練されたスタイルになります。
まず最も重要なのは、結ぶ位置です。
一般的には、耳の高さか、それよりもやや低い位置が上品に見える「ゴールデンポイント」とされています。
ただし、花嫁さんの首の長さやドレスのデザインによって最適な位置は異なりますので、ヘアメイクさんと相談しながら決めましょう。
次に、トップとサイドのボリューム感です。
ペタッとしすぎると寂しい印象に、逆にボリュームがありすぎるとカジュアルに見えてしまうことがあります。
後頭部に自然な丸みを持たせ、サイドはタイトにまとめすぎず、少しだけふっくらさせることで、立体感と柔らかな印象が生まれます。
この「絶妙なボリュームコントロール」こそが、上品なローポニーテールの鍵となります。
また、結び目を隠すために、自分の髪を一束取ってゴムの上から巻きつけるテクニックは必須です。
この時、毛先をしっかりと内側にピンで固定することで、より完成度の高い仕上がりになります。
毛先の処理も重要で、内巻きや外巻き、波ウェーブなど、希望する雰囲気に合わせて丁寧にカールをつけることで、後ろ姿まで美しいローポニーテールが完成します。
失敗しないためのベースの整え方と注意点
美しいローポニーテールを作るためには、ヘアセット当日の準備だけでなく、事前のベース作りも非常に重要です。
まず、結婚式を迎える前に、髪のコンディションを整えておくことが大切です。
定期的なトリートメントやヘアパックで髪に潤いとツヤを与え、枝毛や切れ毛をケアしておきましょう。
ツヤのある健康的な髪は、ローポニーテールのシンプルさの中での上品さを際立たせてくれます。
また、ヘアカラーやカットも事前に計画的に行います。
特にカラーは、ヘアスタイル全体の印象を大きく左右するため、ローポニーテールにした時の見え方をイメージして、美容師さんと相談しながら決めましょう。
暗すぎる髪色だと重く見えたり、逆に明るすぎるとカジュアルに見えすぎたりすることがあります。
当日のベース作りとしては、髪全体を丁寧にブローし、クセやうねりをなくしておくことがスタートラインです。
スタイリング剤は、髪質や求める質感に合わせて選びますが、つけすぎるとベタついて上品さが損なわれるため注意が必要です。
特に結婚式のヘアセットでは、時間が経っても崩れにくいように、しっかりとしたキープ力のあるスプレーやワックスを選びつつも、あくまで自然な仕上がりを目指すことが肝心です。
私が担当した花嫁様の中には、普段使わない強力なスプレーを自分で準備してリハーサルに臨んだ結果、髪がガチガチになりすぎてアレンジが難しくなったケースもありました。
プロのヘアメイクさんは、その日の気候や髪質に合わせて最適なスタイリング剤を選び、量を調整してくれますので、基本的にはお任せするのが一番安心です。
上品さを格上げするローポニーテールのアレンジと髪飾り
ローポニーテールはシンプルなスタイルですが、そこに少し手を加えるだけで、驚くほど表情豊かなブライダルヘアへと変化します。
編み込みやねじり、ツイストなどのテクニックを取り入れたり、華やかな髪飾りやアクセサリーをプラスしたりすることで、上品さを保ちつつ、自分らしさやトレンド感を演出することができます。
ここでは、ローポニーテールの魅力を最大限に引き出すためのアレンジ方法や、ティアラ、ベール、生花、ドライフラワーなど、様々な髪飾りとの上品な組み合わせ方について詳しくご紹介します。
これらのアレンジや髪飾りは、あなたのローポニーテールをさらに特別なものにしてくれるでしょう。
編み込みやねじりを加える洗練されたアレンジ方法
ローポニーテールに編み込みやねじりを加えることで、シンプルなスタイルが一気に華やかで洗練された印象に変わります。
特に人気なのは、顔周りやサイドの髪を編み込んで、それをローポニーテールの結び目に巻きつけるアレンジです。
顔周りに沿うように細かく編み込んだ髪は、額や頬のラインを美しく見せる効果があり、上品なアクセントになります。
編み込みの種類(三つ編み、四つ編み、フィッシュボーンなど)や編む太さによっても雰囲気が変わるので、希望のイメージをヘアメイクさんに伝えましょう。
また、後頭部の髪全体をゆるくねじりながら一つにまとめるアレンジも人気です。
この時、髪を引き出してラフ感を出すことで、柔らかく動きのあるスタイルになります。
ねじりを加えることで、トップや後頭部に自然なボリュームが生まれ、絶壁カバーにも効果的です。
さらに、ローポニーテールの毛束自体を三つ編みやフィッシュボーンにするアレンジも、後ろ姿に凝った印象を与えたい花嫁さんにぴったりです。
これらのアレンジを施す際は、「崩しすぎないこと」が上品さを保つ上での重要なポイントです。
適度なルーズさは必要ですが、あくまで計算された崩しであり、だらしなく見えないように注意しましょう。
リハーサルでは、どのくらい崩すのが自分のイメージに合っているか、ヘアメイクさんと細かく調整することをおすすめします。
ティアラやベール、アクセサリーとの上品な組み合わせ方
ローポニーテールは、どんなタイプのティアラやベール、アクセサリーとも相性が良い万能なスタイルです。
組み合わせ方次第で、クラシカルにもモダンにも、様々な雰囲気を演出できます。
ティアラを合わせる場合、ローポニーテールの結ぶ位置によってティアラをつける位置も調整するのが上品に見せるコツです。
低めのローポニーには、ティアラもやや低めにつけるか、カチューシャのように額に乗せるタイプを選ぶとバランスが良いでしょう。
ベールは、ローポニーテールの結び目の上からつけるのが一般的ですが、よりクラシカルな雰囲気にしたい場合は、ベールをかぶった後にベールの中にローポニーの毛束を通すアレンジも素敵です。
この時、ベールから出る毛先の処理を丁寧に行うことで、上品さが際立ちます。
イヤリングやネックレスを選ぶ際は、ヘアスタイルとのバランスを考慮しましょう。
シンプルなローポニーテールには、少し大ぶりのイヤリングや華やかなネックレスを合わせることで、顔周りが明るく華やぎます。
逆に、編み込みなどのアレンジをたっぷり加えたローポニーテールには、小ぶりでシンプルなアクセサリーを選ぶと、全体のバランスが取れて上品に見えます。
アクセサリーを選ぶ際は、ヘアスタイルだけでなく、ドレスのデザインや会場の雰囲気、そしてご自身のパーソナルカラーも考慮に入れると、より洗練されたコーディネートになります。
生花やドライフラワーでトレンド感と華やかさをプラス
ローポニーテールに生花やドライフラワーを飾るアレンジは、ナチュラルウェディングやガーデンウェディングだけでなく、様々なスタイルの結婚式で人気が高まっています。
生花の瑞々しい美しさや、ドライフラワーのアンティークな質感は、ローポニーテールの持つ柔らかさやナチュラルな雰囲気と非常に良く合います。
飾る位置や花の量、種類によって、可愛らしい印象から大人っぽい印象まで、幅広く演出できるのが魅力です。
例えば、ローポニーテールの結び目の周りに小花を散りばめたり、サイドに一輪の大きな花を飾ったり。
毛束に沿ってグリーンや小花を編み込むように飾るのも素敵です。
使用する花材は、ドレスの色やブーケ、会場装花とリンクさせると、より統一感のあるコーディネートになります。
生花を選ぶ際は、季節や花の持ちを考慮することが重要です。
夏場の結婚式や屋外での時間が長い場合は、比較的暑さに強い花材を選ぶか、保水処理をしっかり行う必要があります。
ヘアメイクさんやフローリストさんと連携を取り、最適な花材を選んでもらいましょう。
ドライフラワーは持ちが良いというメリットがありますが、繊細で崩れやすいものもあるため、取り扱いには注意が必要です。
私がヘアメイクとして経験した中で、最も上品で印象的だったのは、ローポニーテールの結び目から毛先にかけて、流れるように小ぶりな生花やグリーンをあしらったスタイルでした。
まるで髪から花が咲いているかのような自然な美しさが、花嫁さんの笑顔と相まって、ゲストの心に深く残ったのを覚えています。
顔型やドレスに合わせたローポニーテールの選び方とヘアメイク指示のコツ
ローポニーテールはどんな花嫁さんにも似合いやすいスタイルですが、ご自身の顔型やドレスのデザインに合わせて少し調整することで、さらに魅力を引き出すことができます。
結ぶ位置、トップのボリューム、後れ毛の出し方などを工夫することで、気になる部分をカバーしたり、逆に良い部分を強調したりすることが可能です。
また、理想のローポニーテールを実現するためには、ヘアメイクさんとの密なコミュニケーションが欠かせません。
ここでは、あなたに似合うローポニーテールの見つけ方、ドレスのスタイルに合わせたコーディネートのポイント、そしてヘアメイクさんに希望を正確に伝えるためのコツについてご紹介します。
あなたに似合うローポニーテールの位置とボリュームの見つけ方
ローポニーテールが似合うかどうかは、結ぶ位置と全体のボリューム感が大きく影響します。
ご自身の顔型や首の長さ、髪の量などを考慮して、最も美しく見えるバランスを見つけることが大切です。
例えば、丸顔さんの場合、やや高めの位置で結び、トップに少しボリュームを持たせることで、縦のラインが強調されてすっきりとした印象になります。
面長さんの場合は、耳の高さかそれよりやや低い位置で結び、サイドに少しボリュームを出すことで、顔の長さをカバーする効果が期待できます。
エラが張っているベース型さんの場合は、顔周りに自然な後れ毛を出すことで、フェイスラインを柔らかく見せることができます。
後れ毛の出し方も非常に重要で、もみあげ、こめかみ、耳後ろから少しだけ引き出すことで、抜け感と小顔効果が生まれます。
ただし、後れ毛を出しすぎるとカジュアルになりすぎてしまうため、あくまで「上品な抜け感」を意識することが重要です。
ヘアメイクリハーサルの際に、様々な位置やボリューム感、後れ毛の量などを試してみて、ご自身が一番しっくりくるバランスを見つけるのがおすすめです。
鏡で正面だけでなく、横や後ろからもチェックしてもらい、全体のシルエットを確認しましょう。
ドレスのスタイル別ローポニーテールの洗練されたコーディネート
ローポニーテールは様々なドレスのスタイルに合わせやすいのが特徴ですが、ドレスのデザインに合わせてローポニーテールの雰囲気も調整することで、より洗練されたコーディネートが完成します。
例えば、クラシカルなAラインやプリンセスラインのドレスには、トップにやや高さを持たせ、毛先をしっかり巻いた華やかなローポニーテールがよく似合います。
ティアラやロングベールを合わせることで、正統派で上品な花嫁姿を演出できます。
一方、スタイリッシュなマーメイドラインやスレンダーラインのドレスには、タイトにまとめたモードなローポニーテールや、毛先をストレートにしたクールなローポニーテールがおすすめです。
シンプルなヘッドアクセサリーや大胆なイヤリングを合わせると、洗練された大人の魅力を引き出せます。
ナチュラルなエンパイアラインやソフトマーメイドのドレスには、ゆるく編み込みを加えたり、後れ毛を多めに出したりした、リラックス感のあるローポニーテールがぴったりです。
生花やドライフラワー、小枝のアクセサリーなどを合わせると、よりナチュラルで柔らかな雰囲気に仕上がります。
ドレスの素材感やネックライン、背中のデザインなどを考慮して、ローポニーテールの質感やボリューム、アレンジを決めることが、全体のバランスを取る上で非常に重要です。
理想のローポニーテールを叶えるヘアメイクさんへの具体的な伝え方
理想のローポニーテールを実現するためには、ヘアメイクさんとの事前の打ち合わせやリハーサルが非常に重要です。
「お任せします」ではなく、具体的なイメージを伝えることで、ヘアメイクさんもあなたの希望をより正確に理解し、理想のスタイルを作りやすくなります。
まずは、イメージに近い写真や画像を複数準備しましょう。
同じローポニーテールでも、結ぶ高さ、ボリューム感、毛先の処理、後れ毛の量、アレンジの有無などで印象は大きく変わります。
写真を見せながら、「この写真のトップのボリューム感」「この写真の後れ毛の量」「この写真の毛先のカール」など、具体的に「どの部分」が気に入っているのかを伝えましょう。
また、「上品に」「大人っぽく」「ナチュラルに」「華やかに」といった抽象的な言葉だけでなく、具体的な質感(例:ツヤっぽく、ふんわりと)やシルエット(例:すっきりと、丸みを持たせて)を伝えることも有効です。
当日使用したい髪飾りやアクセサリー、ベールなども持参し、実際に合わせながらヘアメイクさんと相談しましょう。
リハーサルでは、正面だけでなく、横や後ろからの見え方も必ず確認してください。
私の経験上、リハーサルで「少しだけ後れ毛を増やせます